タイムレコーダ、ガチャンと押せば
昔、クレイジーキャッツのヒット曲で(曲名は忘れましたが)「 ~ タイムレコーダ ガチャンと押せば ~ 」と言う一節がありました。昔のタイムレコーダは、リング状で金属製の数字の版でカードに押していたので
、「ガチャン!」と、かなり大きな音がしていたのです。
今から30年ほど前、ドットプリンタが採用されるようになって、ぐっと音が静かになり、ガチャンと言う機械は、今ではメーカーの資料室くらいでしか見られないと思っていました。
先日、最近はあまり訪れたことがない同級生から電話があって、「以前、お宅から買ったタイムレコーダのインクが薄くなったので、交換してほしい。」と言われました。買ってもらったのは、随分以前のことなので、どんな機械だったか記憶がなく品番を聞いてみると、それは記憶の奥にかすかに残る「ガチャン!」と言うあの機械でした。
「在庫を確認するので、少し待ってほしい。」と電話を切ったものの、30年も前の部品が今でも入手可能かどうか、ちょっと心配になって来ました。
メーカーのホームページでは、「生産を終了した商品」の中にも見当たりませんでした。代理店の注文リストでも見つけられません。ダメモトと思って、ネットで検索をかけたのですが、なかなか通販サイトがヒットしません。
やっと
Amazonのサイトで見つけることができましたが、在庫は1個だけ。急いでポチって、届くのを待ちました。本当に機械に合うかどうか、現物で合わせないと安心できないのです。
翌日、宅配で届いた商品は、一応純正品のようでした。生産されてから、既にかなりの年数が経っているはずで、「インクが蒸発してつかないようなことはないのだろうか?」と、一抹の不安を感じながら、同級生の事務所を訪ねました。
現在売られている機械は、インクは全てカセットを交換すれば済むのですが、30年前のこの機械は、リールにまかれたリボンを引き出して機械の中を通し、反対側のリールにとめなければなりません。記憶をたどりながら、やっとセットが終わりました。
試にカードを差し込むと、「ガチャン!」と大きな音がして、鮮やかに時刻が印字されました。やれやれ、何とか無事に済んだようです。この事務所では、よほど大事に使ってくれたのか、それとも、この時代の機械は、よほど丈夫に造られていたのか、良かったような、ちょっと困ったような・・・。
因みに、この時代は、まだクオーツ時計は一般的ではなく、シンクロナス・モーターと言って、電源周波数(50Hzか60Hz)で管理して時計を動かしていました。
余談ですが、私が高校を卒業して富士市の会社へ勤め始めた頃、富士川をはさんだ富士川町(現:富士市)のお客様へタイムレコーダを納品に行ったことがありました。マニュアル通りに設置を済ませ、納品を完了させたつもりだったのですが、翌朝、お客様から「1日で何時間も時計がずれる。不良品だ!」とお叱りを受けました。
ご存知の方も多いと思いますが、富士川を挟んで東側は東京電力(50Hz)、西側は中部電力(60Hz)と周波数が違い、お客様のところでは2割も早く時計が進んでしまったのです。今では、笑い話ですが・・。
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